鉋の再生

ヤフオクで激安で落札した鉋を開けてビックリ。

裏が消えてるし、錆を薬品で落としたところがボコボコに凹んでいる。

見た瞬間は再生を諦めたが、耳をガッポリ落として、裏出しを多めにすれば、

もしかしたら使えるかもしれん。

早速裏出し。

次は表と裏を研ぐ。

なんとか使えそうです。

ただ、裏出しで叩き過ぎたせいか、真ん中辺りにヒビみたいのが入りました。

今のところ問題なさそうです。

地金のところに黒い隙間みたいのが見えますが、

釜地というやつでしょうか?

いい感じです。

銘は「竹洞」?

鋼と地金の境目がくっきり見えて、カッコいい。

竹洞という鉋はネットで検索しても出てきません。

有名なものではないようですが、腕の良い職人さんが一生懸命作ったような気がする。

桧の鉋掛けに使ってみたが、新品で買ったのと遜色なく切れて、

苦労は酬われた。

俺と出会わなければ、タダの鉄くずで終わっていたかもしれない。

刃物の研ぎは、ハマると止められない。

槍と台

一般的に鉋(かんな)と言えば、台鉋を指す。

だが、実は台鉋が使われるようになったのは江戸時代になってからで、

それまではなんと「槍鉋」(やりかんな、かりがんな)が鉋の主流だったらしい。

僕が槍鉋を知ったのは、中学生の頃読んだ法隆寺の本だった。

宮大工が法隆寺を修復する話だった。

そんなこんなで、いつかは槍鉋を使ってみたいとは思っていた。

インターネットで探すと、結構売っている。

そんなに高額なものでもないので、試しに買う。

そして、試し彫り。

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形が物騒なので緊張したが、削るだけならそんなに難しくない。

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ただ、そんなに綺麗に仕上がらない。

インターネットの動画のようにはいかない。

でも、節のあるところでも他と同じように削れるのはなかなかイイ。

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台鉋だと引っ掛かって、下の写真のようになる。

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台鉋は使いこなすのが難しい。

刃を研ぐのは勿論だが、台に組んで調整するのも難しい。

そもそも買った代物がどんな水準なのかも分からない。

それに対して、槍鉋はかなり大雑把でも使える。

刃先は真っ直ぐ、真っ平らに研ぐ必要はないし、

ある程度研いでおけば、それなりに削れる。

思っていたよりも実用的だ。

 

 

会心の出来

今までは幅 18mm のノミ(鑿)を研ぐことが多かったが、

久々に 24mm 幅のノミを研いで見た。

意外なことに会心の出来栄えとなった。

若干丸刃だったやつを研いでいくと、

先端を除いて平面が出てきた。

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さらに研ぐと先端の残りが小さくなった。

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そして、完成。

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上級者から見ればまだまだなのは分かっているが、

今の自分の実力からすれば上出来。

どうせノミで数十分間木を彫れば、刃は欠けてくる。

建具や家具のような高い精度は必要ないので、

ある程度研げていれば問題ない。

いままでは、主に 18mm 幅のノミを研いできた。

その理由は、18mm あれば木を彫るのに十分だし、

ヤフオクで割安だったから数本買ってしまったから。

それに幅の狭い方が研ぎ易いような気がした。

だが、今回ので幅の広い方が平面を出し易いような気もした。

もしかしたら、18mm よりも 24mm の方が研ぎ易いのかもしれない。

 

 

丸刃

鑿(ノミ)を研ぐのは難しい。

買ったときは平面だった先端の研ぎ面が、

数回研ぐと丸みを帯びてきた。

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こういうのをマルハというらしい。

その場その場で切れればいいと先っぽだけ鋭利に仕上げるとこうなる。

先端だけドンドン鈍角になっていくわけで、

次第に木材を彫る感じに違和感を感じるようになる。

刃こぼれはし難くなるが、肝心の切れ味が駄目。

このままでは鑿が使い物のならなくなる。

そこで10数時間程度真剣に練習に励んだ結果、

なんとか平面に研げるようになった。

が、刃が傾いてしまった。

それから、先端が徐々に鋭角になっていく癖も明らかになった。

まだまだ修行が足りない。

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